婚姻費用審判の記録〜婚外子差別に関して

不貞行為から派生した婚外子の生活費は、婚姻費用の算定において考慮せず、そのような差別的取り扱いをしても、憲法第14条第1項には違反しないとの判例 法律について素人の一見解。

 下記審判にて、予見されていなかった婚外子の誕生及び3人の婚外子の成長を理由として、婚姻費用の減額を申し立てたところ、不貞関係から派生した3人の婚外子の生活費は婚姻費用の算定に一切考慮すべきではないとされた。

 一方で、当然に予見された嫡出子は成長による費用の増額、さらに一切の事情という曖昧な根拠で、嫡出子には超過教育費月額5万円さえもが認められ、その結果、婚姻費用は増額され38万5千円と決定された。

京都家庭裁判所平成29年9月13日審判(家)第1237号、第1238号(裁判官 松井千鶴子)

大阪高等裁判所平成29年12月8日決定(ラ)第1204号(裁判長裁判官 河合裕行 裁判官 濱谷由紀 裁判官 丸山徹)

 申立人は、当時の婚姻費用月額36万円の減額を、平成29年2月に申し立てており、前件抗告決定での効果はその時点で遮断されている。しかしながら、平成29年2月以降も婚姻費用として、それまでと同額月額36万円の支払を継続して行っていた。そして、大阪高裁平成29年12月8日決定によって、婚姻費用月額38万5千円が確定したたため、許可抗告、特別抗告を申し立てたが、12月末日より38万5千円の支払いを行った。

 その後、平成30年4月になり、最高裁判所への特別抗告が棄却されたところ、相手方代理人長岡麻寿恵弁護士は、2月〜12月までの婚姻費用月額2万5千円×11月分の支払の請求を内容証明郵便にて送付してきた。遡及分の請求は、当然のことであるが、それとともに遅延損害金についての請求されており、遡及分の遅延損害金の起算日を、1月1日としている。

 


遡及分請求1


長岡麻寿恵弁護士より通達



 遡及分の支払い回数は12月分は既払いであるので一ヶ月多く請求してきていたため、それを長岡麻寿恵弁護士に指摘したところ、一月分の婚姻費用の過遡及費用を修正し、再度、文書が送られてきた。

 ところが、その文書によると、遅延損害金の起算日が変更されており、法的効果が遮断されており、婚姻費用分担金が確定していない2月から11月までの支払日を起算日として前倒しし、説明なく遅延損害金を増額した請求が送られてきた。

長岡麻寿恵弁護士より通知

 そこで、長岡麻寿恵弁護士からの通知文通りの額を一旦振り込んだように思うが、何か、釈然としなかったため、遅延損害金の起算日について調べたところ、支払が法的に遮断されてたいた期間の債務の不履行(遡及増額分)について『期限の定めのない債務』と言えるのであるから、民法412条3項により、遡及分の支払の請求した翌日を起算日として遅延損害金を請求するべきものではないかと考えるようになった。この場合だと、2018年4月25日あるいは、4月26日ではないだろうか。
 金銭の絡むことで、少額であるから問題ないというものでもなかろうが、債務の額が大きければ、遅延損害金の額、債務も大きく変化が生じるものである。遅延損害金の起算日はそれほど曖昧に解釈できるもので、債権者が意図的に変更できるものであるわけはないだろう。
 先の内容証明による起算日は長岡麻寿恵弁護士の単純なミスであって、実は後日送付されてきた起算日が正しいものだったのだろうか?
 
数百円の万引きで日本代表女子マラソン選手が窃盗罪で逮捕されるのであるから、万一、意図的に起算日を操作して、少額であっても遅延損害金を不当に増額し、請求しているなら、それは弁護士会の懲戒処分は当然のこと、刑法における詐欺罪にすら該当するのではないか?


 「関西の良心」と言われる女性弁護士の一人である長岡麻寿恵弁護士は1994年国連への『日本からの手紙』にも名を連ね女性差別問題、労働者問題を取り扱う弱者の権利を尊重するリベラル系の護憲派弁護士であると聞く。現に、父が新聞記者を脱サラして、母とともに夫婦2人で小さな店を営み、私たちきょうだいを大学まで進学させてくれました。大晦日も正月も、朝から晩まで働いていた両親の姿が私の原点です』と謳っている。

 憲法というものは、時代による変化は多少はあったとしても、基本的には普遍的なものでなければならないはずだ。憲法を守るというのは、ここでは、『法の下の平等』を守るというのは、敵、味方関係なく、理不尽な差別を許さないという信念があってこそではないのか?
 状況に応じて、
自身に関係するものの差別は許せないが、敵対する相手の権利の蹂躙、差別は平気で主張するのであれば、そこには護憲という信念など存在せず、自分に都合の良い法律を作り出そうとしているだけのように思われる。それはまさに独裁制であり、民主主義の破壊ではないだろうか?
 『やられたらやり返す、倍返しだ!』という観念がまさに戦争をはじめ、世の中の数々の泥沼化した紛争をひきおこしているのであって、必要以上に攻撃的、好戦的な『憲法九条堅持論者』、『平和主義者』というのは、暴力的な動物愛護団体と同様に、自己矛盾しているとしか言いようがなく、似非なる信念であることは言うまでもない。



(詐欺)

刑法第246条
  1. 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
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2019年12月23日、以前告知のあった養育費・婚姻費用の実証的研究についての報告があり、新たに算定表が公表された。
『養育費婚姻費用に関する実証的研究』(最高裁Webサイト)


詳細な論理的根拠までは上記のWebサイトには公表されていないが、先の日本弁護士会発表の算定表ほどの『増額ありき』という露骨さはないものの、基本的には、増額ありきという発想に基づいているように感じる。

というのは、明らかに2003年当時の標準的算定方式の作成の時点より、所得税率の増加や、配偶者控除が縮小、廃止されたり等々で、税負担が重くなっているにもかかわらず、どういう訳か、生活費の按分の基礎となる基礎収入の総所得に対しての比率が明らかに大きくなっている。
2003年算定表(給与所得者42%〜34%)
2019年算定表(給与所得者54%〜38%)

また、職業費についても、『被服費、履物』『通信』『書籍、印刷物』は世帯人数で除し、有職人数を乗じて総収入より控除するとあるが、仕事をしている大人とそうでない子ども達が、上記の3項目について等しく費用を要するわけがない。そして、15歳以上の生活費指数は下がっているものの、それ以下の子どもの生活費指数を大きく上げることで、『子どもを出汁にして』、多くの場合非監護親側の義務者の負担を大きくしている。それは、結果的に、当事者間の陰性感情を高め、親子の分断を生む要素の一つとなる場合も少なくないと思われる。

また、生活保持義務の考えて立っているはずであるのに、2003年版の標準的算定方式と同様に、収入が上がるにつれて、現実には平均的に留保されるはずの金額を考慮せず、直線的に生活費が上昇するというのも著しく不合理であろうと思われる。標準的算定方式は、そういう点では生活費に加えて、財産ないしは金銭の贈与まで含んでいると言っても過言ではない。
一人親世帯、子どもの貧困を大義名分にしている割には、増税により基礎収入は2003年より明らかに減少している、全く貧困と関係ない層の費用負担を大きくするのは、いかがなものかとも思う。

3組に1組が離婚する現実の中で、やり直しが許されない婚姻制度の下では、もう結婚はしないほうがいいかもしれない。
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以下は、有責配偶者からの離婚申立調停における主張書面である。調停であるにもかかわらず、原告、被告としているのは裁判を前提として記載したためであろうと思われる離婚を拒否する相手方弁護士の主張に対して提出されたものである。もちろん、別居より、10年以上経過しているわけではなく、離婚訴訟を起こしたとしても、離婚が認められる可能性はほぼなかっただろう。
 確かに不貞行為を行ったほうが、有責配偶者とされるのは当然である。しかしながら、不貞行為に至る経緯は千差万別あるであろう。確かに、その経緯における事象は曖昧なものであって、評価困難であり、明らかな不貞行為等が評価されるのも理解できる。

 日本の現状の婚姻制度では、婚姻届さえ提出してしまえば、不貞行為等の明白な事象さえ避ければ、浪費しようが、家事を放棄しようが、好き勝手、わがまま放題しても、問題ないのである。

 婚姻制度によって、あまりに夫ないし妻が守られすぎているというのが現状であり、もう少し夫婦個人個人間に緊張感のようなものがあるべきではないだろうか?
 現状の日本の婚姻制度は、決して幸福な家庭を形成するのに良好な構造ではないのも確かだろうし、結婚したがらない若者が増えているのも当然のことだろうと思われる。

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原告 X

被告 Y

主張書面

平成29年◯月◯日

◯◯家庭裁判所 御中
                                原告 X

(1)性格の不一致による婚姻関係の破綻

①経済感覚の相違

 原告は、平成10年◯月被告との婚姻したが、平成10年4月から医師として勤務し、月々の収入額は同年代の給与所得者と比して多額であった。一方、被告は大学卒業後、原告と結婚するまで、半年間程度の法律事務所常勤事務員、1年弱程度の病院秘書パート勤務としてのみの就労経験がなかった。その為、原告は、被告が収入を得ることについての労力を認識していないと感じ、その金銭感覚に不満を感じていた。被告は家計簿などをつけることはなく、原告の収入を無配慮に費消し、一定の生活費の中でやりくりしようという意志が乏しかった。原告は、再三に渡り家計の収支を示し協力と改善を求めるも、被告は、原告が一般よりも高給であることに甘んじ、その要請を真摯に受け止めなかった。

 同居中、被告が家計の管理を十分にできなかったため、原告は、住宅ローン、税金はもちろん、光熱費、通信費、自動車維持費用、外食、外出費用など、広い範囲に渡り負担し、管理していた。被告には、概ねスーパーマーケットなどでの食費や日用品代その他費用として、毎月155,000円程度の現金を被告の銀行口座に振り込むことで渡していた。また、被告には原告のクレジットカードの家族会員カードを渡し、服装品の購入やネットショッピングなど、カードが使用可能な場面では、被告はクレジットカードによる決済も行っていた。被告とその両親との旅行や外食を、原告の家族会員カードで決済することすらあった。

 被告は、原告が渡した月々の現金を留保することなくほぼ全額費消し、振込日には、被告口座の預金残高は概ね数百円のみであった。被告のこのような金銭感覚、費消は原告にとっては浪費としか感じられず、結婚当初しばらくの間は、改善を求めていたが、被告が真摯に自らの経済観念を省み修正することはなかった。原告は次第に被告の金銭感覚、経済観念に変化を求めるのを諦め、時に目に余るクレジットカードの使用を注意するに留めるようになった。

 なお、甲1号証の1は平成23年◯月◯日2度目の調停期間中の原告と被告との間での電子メールのやりとりである。自らが留保することや家計について全く配慮はなく、経済的に原告に完全に依存し、無遠慮に原告に金銭を要求してきたこと、それを解消する対話の困難さがあらわれている。


②被告の自己愛的、未熟な人格傾向

 婚姻当初から被告は一心同体などと言い、原告の郵便物、携帯電話の通話履歴やメール内容を日常的に無断で確認するなど原告プライバシーの侵害が常であった。それらの人間関係について詰問し、原告の行動や交友関係に対しても、監視干渉することも目立った。

 また、被告は原告が勤務中などであっても、些細な用事や自己の不安を解消するため、携帯電話、時に職場に直接電話してくるなど、自己中心的な言動が目立った。日常生活で何らかの問題が生じた際には、被告は自らの責任で解決する意思が乏しく、原告に問題を押し付けたり、一方的に責めることもあった。また、自己や肉親に対する自画自賛、配慮感謝をするものの、原告や血縁者以外に対しての気遣いは乏しかった。

 一般的に健全な精神的発育がなされると、どれほど親しい間柄であっても、自分と他者は異なる個人と言う認識ができ、他人を尊重できるようになると言われている。被告は、精神的に成熟しているとは言いがたく、特に親密な人間関係において自他の境界が曖昧で、他者は自己と同じ思考感情であるべき、他者は自分の為にある、自らの非は認めず他者を一方的に責め罰することなどに特徴づけられる自己愛的な人格であった。

 原告は、被告のかのような人格傾向に基づく、日常的な監視、プライバシーの侵害、束縛干渉、自己中心的で無配慮な言動、他罰性などに結婚当初から深刻な不調和を感じていた。

 なお、甲1号証の2は平成23年◯月◯日2度目の調停の期間中の原告と被告との間での電子メールのやりとりであるが、そのような被告の人格傾向があきらかになっている。

③母親との共依存と不調和の強化

 被告は原告と婚姻後も、実家、殊に実母に強い依存をしており、毎日のように長時間の架電をする、頻繁にF市にある遠方の実家まで帰るなどしていた。

 離婚調停申立書に添付した別紙の手紙(離婚調停申立書別紙1)は被告母親から原告両親へ別居した頃に送付されてきたものである。原告は婚姻期間中に被告の母親と交流する中で、その人格について独善的、支配的で、他者に対する配慮思いやりが乏しいと感じていたが、送付されてきた手紙を拝してその認識を一層に強めた。

 被告の人格は養育を受けた母親に強く影響され形成されたのは自然であり、被告の人格は母親のそれと相当に共通していた。原告と婚姻後も被告の母親との共依存は弱まらず、それ故被告の人格は母親の影響を受け、強化され続けた。

 原告と被告との間には結婚当初から深刻な不一致が存在しており、被告の人格を形成した母親との依存関係は結婚後も続いており、その人格傾向は維持され強化されていた。また、自らの人格や言動を内省し、変化することも、過保護な母親に正当性を求めるため困難であった。更に、原告が被告に不健全な親子関係、共依存関係について示唆しても、被告はそれを否認し真摯に受け止めることはなかった。よって、原告が相互に不調和を生じる人格やそれに基づく言動に変化を求めても、叶うべくもなかった。

④被告の相互扶助義務違反

 被告は、原告を尊重しその意志に配慮することなく、原告の意見を頑なに否定するなどし、自らの意向を押し通そうとすることが目立った。一方で、上述したように、被告は母親を信奉し自らの行動原理としており、『お母さんがいってたもん』と母親を盲信したり、配偶者の原告よりも母親の意見感情に従う傾向も強かった。母親からの承認、賞賛を得る為に行動し、その目的の為に、原告の行動を制御しようというのも常であった。

 被告のいうところの『私の家族』(甲第1号証の2)は、結婚後も一貫して原告とのものではなく、実家との関係であり、被告は、原告を尊重し相互扶助関係を伴う家族を形成する意志や努力は乏しく、専ら自らの意向に沿って、実家との相互扶助関係を維持することに腐心していた。すなわち、被告は原告との相互扶助義務を明らかに怠っていた。

⑤協議の困難性

 原告は被告との不一致を解消するために対話や議論を行い調整しようと試みても、被告は論理的な思考よりも、自らの感情主張に固執し原告の意見を頭ごなしに否定するなど対話が深まることはなかった。さらには、自らの思い通りにならないと不機嫌になることも頻繁にあり、不毛な口論が起こるばかりで、対話そのものが成り立たないことも多かった。

 このように原告は、高い確率で煩わしく不毛な口論を引き起こしうる被告との対話を試みることすら避けるようになり、次第に被告との相互理解や対話を諦めるようになった。

⑥小括

 原告は結婚当初より被告との経済感覚の相違、自己愛的で未熟な性格傾向、それに伴う言動に辟易としていた。被告はその性格の形成に大きな影響を与えた母親に強く依存し、原告と不調和をきたす性格および言動に変化を求めるのが困難であった。また、被告は自己とその母親の思考感情を優先させ、原告との相互扶助を果たす義務を怠った。さらに、被告は、意に沿わないと容易に感情的にもなるため有意義な対話も出来なかった。

 原告は被告との深刻な不調和を感じつつも、被告との間でそれを解決するすべを見いだせず、次第に被告に対する愛情を喪失した。不毛な対立を避けるため表層的な関係を維持する一方で、相互扶助を基本とする婚姻関係を継続しようとする意欲も乏しくなった。

 そのような被告との関係性の中、原告は平成21年◯月頃よりBと不貞関係に至った。

(2)長期間の別居

①被告との交流

 平成23年◯月より原告はH市の勤務先近くに住居を確保し一人暮らしを始め、平成23年8月よりは別居するようになった。その後、Bとの間に、平成23年◯月◯日長女、B1が誕生した。平成24年◯月よりF市に勤務のために転居し、同年4月よりはB、B1と同居した。更に平成25年◯月◯日長男、B2、平成29年◯月◯日二女、B3が誕生した(甲第2号証、甲第3号証、甲第7号証)。

 別居後、原告と被告との間には、別居後より平成27年◯月にかけて、2度の離婚調停(京都家裁平成23年(家イ)第◯◯号、第◯◯号)、婚姻費用分担調停(京都家裁平成23年(家イ)第◯◯号)、審判(京都家裁平成24年(家イ)第◯◯号)、抗告(大阪高裁平成25年(ラ)第◯◯号)、損害賠償請求事件(京都地裁平成26年(ワ)第◯◯号、第◯◯号)などの調停、法的紛争が生じている。このような中、被告との関係性は悪化し、交流は著明に減少した。現在は被告から連絡は原告が婚姻費用の振込を失念した時の督促程度(甲第34号証)の事務的な連絡のみで、最近3年ほどは子供の進路や学校行事、学校や日常での様子についての報告もない。

②被告の別居後の実家への接近

 平成23年◯月頃より実家の経営する社会福祉法人の保育園で勤務をはじめ、平成25年◯月からは両親と実姉と同居するようになった。

 原告が被告との婚姻関係を維持する意欲を失った大きな原因は、被告の性格傾向であり、そのような性格を形成し維持強化しているのは実家実母への強い依存であったのは上述した通りである。

 被告が別居後に更に実家への物理的心理的距離を接近させているが、それによって原告が不調和を感じる被告の人格傾向、行動様式は一層強化されているのは明らかであり、更に関係の構築は困難になっている。

(3)婚姻関係破綻に至る有責性

 原告の不貞行為に至るに被告との解消困難な不調和があったが、その不貞行為は明らかな不法行為であり、別居、婚姻関係の破綻に至った原告の専らの責任は免れ得ない。また、被告の人格やそれに基づく行動様式が不調和の原因であったとはいえ、それらに明確な違法性があるわけではない。原告が被告と婚姻関係を結ぶにあたって、自らと不調和を生じうる被告の人格や行動様式を知っていた、ないしは知るべきであり、被告がキリスト教の牧師の娘であるという原告自身の心象により、被告の人格を正しく捉えられていなかったとはいえ、そのような被告との婚姻関係を原告の意思で結んでいる以上、被告の人格や行動様式が婚姻関係において自らと不調和をきたしたとしても、原告にも責は当然にある。

 しかしながら、被告も相互扶助義務に基づき、婚姻関係での問題を認識し、不調和を解消すべく、真摯な努力をするべきであった。ところが、上記のように原告との不調和を認識しない、ないしは否定し、真摯に捉えることがなく、不調和の解消への意志と努力が欠如していた。よって、婚姻関係破綻に至った原因と責任が被告にも少なからず存在するというべきである。

(4)長期間に及ぶ婚姻関係破綻の継続についての有責性

 原告は別居の時点で被告との婚姻関係の継続は望んでおらず(甲第1号証の2)、被告との婚姻関係の修復をする意欲もなかった。しかし、別居時より被告に対して一定の婚姻費用の支払をおこなっており、平成25年◯月には大阪高裁における婚姻費用分担額の抗告決定を受け、その決定月額36万円の婚姻費用の支払を現在に至るまで遅滞なく行っている(甲第4号証 甲第5号証)。また、平成26年8月には、別居より婚姻費用決定までおよそ2年間にわたる婚姻費用差額遡及分360万円あまりを遅延損害金とともに支払っている(甲第6号証)。

 一方で、被告は別居期間の間に原告と子どもを積極的に交流させることもなく、子供達の日常の様子や学校行事をはじめ、進路受験などについてすらも原告に報告することもなかった。

 また、別居後より平成27年◯月までの間に原告と被告との間で、上述のように調停、法的紛争が生じているが、本件でも明らかなように、その経過の中で被告は離婚を断固として拒む一方で、原告を一方的に責め、激しく非難するなど、原告が深刻な不調和を感じていた言動を繰り返すことで、原告との人間関係は更に悪化した。すなわち、被告は、別居後も原告と不調和を生ずる自らの問題を認識しない、ないしは否認し続けており、自らの人格や言動を修正する意志は皆無であった。

 以上のことより、被告は原告との婚姻関係の修復に向けての真摯な努力は行ってきたとは窺えず、別居後破綻が長期間にわたって続いていることについては、原告のみならず被告にも原因と責任があることは明白である。

5)被告の主張

①原告による不貞行為と相手側両親に対する違法行為

 被告は平成22年◯月頃、原告の不貞行為を知り、原告がBとはもう会わないとか別れると約束したと主張する。しかしながら、既にその時点で原告は被告の経済感覚の相違、束縛干渉、性格の不一致に辟易としており、既に離婚の意志を固めていたのであり(甲第1号証の2)、被告が『あなたのことを尊重しなくて悪かった。もう一度チャンスがほしい』と懇願された記憶はあるが、そのような約束はした記憶はない。

 また、Bとの間にB1が平成23年11月1日に誕生しているが、B1は妊娠30週、962gで切迫早産のため出生しており(甲第7号証)、その妊娠の時期は、1度目の離婚調停(平成23年(家イ)第◯◯号)を申し立てた後である。原告は被告との離婚の意志を固め、(それまでは経口避妊薬等による確実な避妊をおこなっていた)原告とBとは妊娠を望んでおり、B1はその結果誕生した子である。よって、妊娠を知ったからといって離婚調停を申し立てた訳ではない。

②被告母親からの手紙 原告のインターネットの書き込み

 被告は上記手紙を全く承知しておらず、母親の手紙について被告が責任を負う筋合いはないと主張する。また、被告は、原告が平成24年12月に被告の母親に対する違法な誹謗中傷および業務妨害を行ったと主張する。

 被告母親は、その手紙(離婚調停申立書別紙1)から、牧師の妻或いは保育園の園長という立場を根拠に、独善的、自己愛的、未熟、他罰的で、自画自賛や肉親をいたわり思いやることができても、他者に対しての感謝や配慮は乏しい人格であることが窺われる。その人間性も養育態度も原告にとって全く評価の出来るものではないが、婚姻関係はあくまで原告と被告との問題であって、被告の母親がどのような人格であろうと破綻の責任は被告母親に帰せるべきものではない。

 原告は結婚後より被告母親の傲慢で独善的な人格や家庭への過干渉をする言動に徐々に嫌悪感を抱くようになっていた。それでも、原告は被告両親や被告のきょうだいや親戚さえも外食や外出、旅行に連れ出したりしており、原告の自宅へ頻回に泊まりに来ることについても、特に不満を感じ、苦言を呈する訳でもなかった。また、被告の2人のきょうだいが心身の不調を呈した際にも、原告は病院の紹介や手配を行ったり、1ヶ月程も原告の自宅で療養をさせることすらあった。原告としては、被告の肉親との良好な関係の形成維持に努力し、配慮を行っていたつもりであった。

 しかし、被告母親は、原告の肉親に当てた手紙に書かれているように、被告と原告との関係の悪化が表面化した後、被告をたしなめることはなく、無条件に擁護し正当化するばかりか、原告を誹謗中傷さえしていた。それ以前よりも原告は母親の独善的で支配的で過保護な言動に、徐々に少なからぬ違和感を覚えており、それ故離婚の意志表示は別居前後に被告の父親にのみ行ったのであるが、差し出がましく関与し、原告を貶める被告母親に対して、さらに強い嫌悪や憤りを感じた。そのため、原告は感情的になり、被告母親を誹謗するような稚拙な書き込みを行った(乙第1号証の1)。

 原告は、被告母親の過保護さ、身内びいきと他者への配慮感謝の無さに唖然、辟易としており、そのような人物と有意義な対人関係を形成できる見込みはなく、今後深く関与をする意志はない。しかし、原告自身の感情にかまけた稚拙な言動について原告は深く反省しており、それ以降既に4年以上が経過しているがそのような逸脱した行動は行っていない。

 なお、上述しているように、被告は母親の上記のような人格傾向に強い影響を受けており、結婚以来一貫して、被告の人格はその母親に共通するものであった。原告はそのような被告とも将来にわたり深い人間関係を形成する意志はない。なお、当時平成25年◯月初旬に、被告が原告の従兄弟に送付したメールであるが、被告の原告への感謝のなさ、母親への心酔とその共通する人格特性を如実に示している(甲第8号証)。

 また、本件不貞行為が明らかになるまで原告と被告は何ら問題なくの子どもらと共に円満な生活を送っていたと主張する。しかし、原告の被告に対する強い不満や不調和を感じず、被告が円満であったとするのは、上述したように自己や肉親の感情には細やかに気を配る一方で、原告への十分な注意や配慮がなかったことを示している。

 また、被告は、原告の名誉棄損罪に該当する違法な誹謗中傷及び業務妨害と主張する。しかし、それは被告の母親、C氏との関係によってなされるものである。C氏はその代理人を通じて弁護士法第23条に基づき原告の職場やインターネット事業者に個人情報の照会を行ったようである(乙第1号証の2)。しかしながら、C氏は代理人まで依頼する一方で、本人や代理人から、原告が事前に警告や抗議などを受けた事実はなく、極めて不可解である。また、事後にもC氏より照会内容の提示を受けたことも、当該事項に関して説明や、謝罪を求められたこともない。原告は、この事案について、離婚調停の場で、当事者ではない被告からのみ抗議を受け、調査結果を提示されている。C氏自身は個人情報に関わる照会の目的をなんら具現しておらず、その経緯からも直接関係しない被告が離婚調停、婚姻費用分担調停に関連して主導して行ったように強く窺われ、弁護士法23条に基づくその照会が適切なものであったのか甚だ疑問である。



③婚姻費用の不払い 住宅ローンの不払い 脅迫的な手紙の送付

 被告は、原告が婚姻費用の大阪高裁の抗告決定を履行しようとせずと主張する。

 後述する、自宅競売や損害賠償請求事件が係争中であったこともあり、大阪高裁決定された婚姻費用遡及分の支払いを速やかにおこなうべきであったが、それを行わなかったことで、過料審判も受けたことの責は当然に原告にある(乙第3号証、4号証)。

 しかしながら、原告は平成25年◯月大阪高裁の婚姻費用の決定に従い、現在に至るまで3年半にわたり被告に対して婚姻費用月額36万円の支払を遅滞なく行っており(甲第4号証、5号証)、大阪高裁の決定までの約2年分遡及分婚姻費用の支払いも平成26年8月には履行済みである(甲第6号証)。原告の被告に対する既払い婚姻費用は、平成23年8月の別居時より現在に至るまでおよそ6年間で、2,517万円にものぼる(甲第4号証)。よって、原告は婚姻費用の履行をせず不誠実きわまりないという、被告の現在に至るまでの非難は相当ではない。

 ところで、平成23年8月別居より平成25年8月大阪高裁の決定までの期間、原告は婚姻費用と住宅ローン費用等をあわせると、決定額と同程度を負担していた(甲第4号証)。しかし、審判、抗告決定のいずれにおいても、住宅ローンの支払について資産形成であるとし婚姻費用の支払に認められず、350万円を超える遡及分婚姻費用の支払を命じられた。すなわち、およそ2年分の遡及分と同等の金銭は住宅ローンの支払に充てられており、原告が留保できていた訳ではない。また、後に競売が開始された自宅の処分においても、債務の返済に自宅売却費用以上を要しており、その期間に住宅ローンの支払に充てられていた金銭は不動産として留保されていた訳でもなかった。

 原告が住宅ローンの支払いが出来なくなり自宅の競売が開始になったことについて、『原告は、被告と子供ら3人の居住していた住宅ローンを、平成25年10月以降突然支払わなくなった』と主張する。しかし、収入に基づいた標準算定方式による試算の上に、教育費として特別経費5万円をも加えた月36万円の婚姻費用の支払に加え、住宅ローン15万円程度を支払うことは、極めて困難であった。そこで、被告に住宅ローンの負担を打診したが、被告は婚姻費用の支払も住宅ローン全額の支払いを原告に求め、歩み寄る意思は全くなかった。それゆえ、原告は住宅ローンを『支払わなくなった』のではなく、『支払う事が出来なくなった』のであり、結果自宅は競売開始となった。そもそも、被告自身が住宅ローンの支払いは原告の財産形成であり、婚姻費用に考慮されるべきではないと主張しているのであるから(甲第9号証)、その前提で試算された婚姻費用31万円に特別経費5万円を加えたものを負担し、更に資産形成に過ぎない多額の住宅ローンを支払うのが不可能であるのは、容易に予測でき、財産形成ができなくなった事が不法行為にあたらないことを、被告は当然に理解している筈である。ところが、被告は自宅の競売開始や、それから生じた子供達の環境の変化、心身の状況への影響を、原告の不法行為で原告のみの責任であるかの如く主張する。被告は、婚姻費用を受け取る一方で、居住する住宅ローンの負担を一切拒んでおり、その容易に予測される結果の競売開始は被告の選択でもある。よって、競売開始によって生じた結果一切を、原告の責にするのは相当ではない。

 また、被告は、原告から脅迫的な手紙の送付を受けたと主張するが、原告の代理人弁護士の文面からは、客観的な現状と近い未来に当然に予見される状況を説明した文書を送ったのみであり、脅迫という意図は全くない(乙第5号証)。さらに、銀行からの通知によって不安になったと言うが、その内容は必然的に生ずる将来の事実についての通知であり(乙第6号証)、被告自身も状況から当然に予測でき、原告の不法行為によるものでもなく、被告が不安に感じたからといって、それは原告の責ではない。

 自宅が競売開始以降も、被告は自宅に居住しており、任意売却によって処分できる状況ではなかった。一方、自宅売却についての期間入札の買受可能価額は10,416,000円(甲第10号証)、住宅ローン残債は、29,348,550円(乙第10号証の1)であった。その間におよそ2,000万円近くの差があり、さらに残債に対して平成26年3月5日より債務を完済するまで年14%の損害金の支払義務を負っており、原告は被告との共有財産である自宅不動産の処分をすることで多額の債務を負う可能性もあった。

 平成26年◯月◯日、自宅に電話も繋がらず競売間近であったため自宅の様子を見に行ったところ、被告は原告に一切告げることなく既に引っ越しており、原告に無断で原告の私物、家財一切が処分されていた。なお、その2週間ほど前の◯月◯日には被告と同居している子ども3人と原告はUSJに行き、面会交流を行った際は依然として自宅には居住していたが、子ども達はその後の住居について原告に対して口を固く閉ざしていた。引っ越しの後日、長男より電話で近隣のマンションに引っ越したことをようやく知らされたのである。

 原告は競売での自宅の処分とその後の多額の債務を覚悟していたが、競売開札日直前までの1ヶ月弱の間に任意売却によリ自宅不動産の処分が可能になった。住宅ローン債務の返済の目処がついたこともあり、平成26年◯月◯日、被告に対して未払婚姻費用3,636,838円、及び8月12日それに対する遅延損害金170,811円(甲第6号証)を支払った。

 自宅処分にかかる期間の上記のような被告の言動は、婚姻費用と住宅ローン双方の支払の困難さ、共有財産たる自宅処分においての手続き、多額の債務の発生の可能性など原告の事情を一切顧みることはなく、ただ自らの思い通りにならなかったことをもっての被害者意識や原告に対する処罰感情に基づくものであった。すなわち、このことからも被告が原告に対する配慮は極めて乏しく、自らの思考感情のみに固執し、婚姻関係の基礎となる相互扶助を果たす努力や意思も皆無であったことが明白である。別居に至るまでまさにそのような被告に対して原告は深刻な不調和を感じていたのである。

④被告の就労

 被告は、仕事が見つからずやむなくG市の両親の経営する保育園で働くことになったと主張する。しかしながら、被告の両親の経営する保育園は、先般改正の社会福祉法に則り高度なガバナンスが要求される公益性の高い社会福祉法人であり、縁故のみによって雇い入れるということは通常考えられない。

 更に、被告の平成28年度の年収は475万円(乙第12号証)であるが、それは平成28年賃金構造基本統計調査(甲第11号証)による同業種、同年代の平均収入(平均年齢42.3歳 決まって支給する現金給与額249,000円×12+年間賞与その他特別給与額779,000円=3,767,000円)と比して、勤続年数を鑑みても、およそ年収で100万円、率にして25%以上も高く、被告の就労能力が相当に高いことも明白である。

 すなわち、被告自身の就労能力が十分に評価されて雇用されているのであり、被告が自宅近辺の職場ではなく、遠方で勤務するようになったのは自らの選択である。

⑤原告による被告への不当訴訟

 被告は、原告が被告名義で預金していた500万円を無断で持ちだしたことに対して原告は被告に対しての損害賠償請求を行ったものの、その請求は排斥された。一方で、被告は不当訴訟として反訴し、原告は70万円の支払を命じられた(乙第11号証の2)。

 原告は、◯◯地方裁判所、◯◯地方裁判所にて訴訟を提起するにあたり、高度な法的知識を有する弁護士を代理人に選任し、相談協議を行っており(乙11号証の1)、弁護士と共謀結託し、相手側が主張するような司法を詐欺・不法行為の手段として用い、訴訟詐欺をはたらく意志などは当然になかった。しかしながら、内心とは別にしても、原告が『財産分与の一部として渡す』と被告に明確に表明したことを、全くもって失念していた事に過失があるのは明らかであり、平成27年4月判決に従い、判決確定後平成27年5月12日に慰謝料の支払を行った(甲第33号証)。

 既にこの訴訟については原告は自らの非を認め慰謝料も支払い済みである。平成27年5月に原告はその訴訟についての法的責任を履行し終え、既に2年余りが経過している。それにもかかわらず、原告の行為は司法行為に対する重大な挑戦行為であり、「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく」違法性が高いとして、現在においても原告を批判するのは相当ではない。

⑥被告の原告への批判、人格攻撃

 被告は、原告は不貞行為を重ねて被告や子供らを打ち捨てて家を出、不貞行為の被告との間に次々と子どもをなし、医師として多額の収入を得る一方で原告や子どもらに対する婚姻費用の支払すら誠実に行わないまま、司法による決定にも履行命令にさえ従わず、過料審判まで受けながら、逆に自らの要求を受け入れさせるために事実に反することを認識して虚偽の事実を主張して不当訴訟を提起するという違法行為を次々と行ってきた明白な有責配偶者であると主張する。

 しかし、上述したように婚姻費用分担調停、審判、抗告決定、および損害賠償請求及び反訴事件に伴う原告の法的義務は2年以上前に履行済みであり、婚姻費用の支払についても当然に継続している。

 すなわち、被告が原告を批判する根拠となるいずれの事象からも、既に長期間が経過しているのであって、以降に更に原告への批判を強化する事象もない。しかしながら、被告は本調停において、原告の履行している義務については一切無視し、一方的な批判や刑法犯罪にすら抵触することも厭わないという人格的な攻撃さえもおこなっている。その一方、調停の場で『離婚は考えていない、いまでも待っている』と言い、頑なに離婚を拒否することは矛盾し、極めて不自然である。過去の紛争、本調停における被告の主張からは、被告自ら離婚を求める、ないしは離婚に応じるのが明らかに合理的である。

 よって、原告に対する批判や人格攻撃は本質的ではなく、自らの正当性を主張する為に、原告を印象的な表現で威圧的、恫喝的に批判し貶めるという、戦略的な態度に過ぎない。

 なお、原告が被告を打ち捨てたと主張するが、そもそも主従関係ではない人間同士の婚姻関係において、打ち捨てることも打ち捨てられることも起こりえない。また、『被告や子どもら』と主張するが、子どもは被告と異なる個人である。子どもを被告の言うところの『打ち捨てられた』状況にしてるなら、それは子どもらを自らの感情に巻き込み、原告との積極的な交流を妨げているためであり、それは他ならぬ被告自身によるのである。

 また、被告との間に次々と子どもをなしと主張するが、非嫡出子にはなんら非はないのであり、その誕生までを不法であるかの表現は相当ではない。

⑦子どもらとの面会交流

 被告は面会交流についてあえて制限したことはないと主張する。しかし、子の面会交流調停(◯◯家庭裁判所平成24年(家イ)第◯◯号、第◯◯号、第◯◯号)(甲第12号証)においても、宿泊を伴う面会は許可されていない。被告が自らの思い通りの状況で、その監視下でしか原告と子どもたちを接触させたがらないことは、様々な被告の人格傾向やその言動より明らかである。

 また、被告は、原告の行動が子ども達の心を著しく傷つけ、心身に多大な悪影響を及ぼしてきたと主張する。原告と被告との婚姻関係の破綻の結果、原告が子どもの心を大きく傷つけたことは認めるが、それは被告と原告相互双方の行動が大きく影響しており、原告一方のみに帰責すべきものではない。

 さらに、被告は嫡出子と非嫡出子と接触させることを非常識であると主張し、拒絶している。原告は監護者である被告の意向を尊重し、強引にそのような接触をさせる意志はない。しかしながら、被告と子どもは別の個人であり、嫡出子と非嫡出子の交流はもちろん、別居の嫡出子とBとの交流であっても、第三者である被告の感情的な干渉がなければ有意義な対人関係を形成することは可能である。また、被告次第で、被告と非嫡出子の交流も有意義なものになるのである。原告はそれらの対人関係の形成が嫡出子、非嫡出子双方の福祉の増進につながると信じている。既に、別居から6年間経過しており、同居の子どもたちを原告が胎児認知しており、更に原告の戸籍への入籍も行っており(甲第3号証)、別居の子どもたちを同居の子どもたちとの接触を弊害があるものとして強く拒絶する態度が子どもの福祉の増進につながるとも思えない。

 被告は、同居の非嫡出子の泣き声がたまたま電話口で聞こえた事に『変な音』と(甲第13号証)過剰に反応するなど、別居の子どもとの接触を『非常識である』『不適切である』で弊害のあるものという根拠なき偏狭な思考に凝り固まっている。それは、子どもを個人として尊重せず、自己の感情を子どもに投影し、自身と子どもの感情を分離できない被告の人格に伴うものである。非嫡出子と嫡出子が良好な人間関係を形成できないとするなら、それはまさに被告の養育態度によるものである。

 上述のような被告の態度や、非嫡出子を非常識、不適切なものとして『安っぽい、レベルが低い』と実家家族と共に蔑む(甲第14号証)態度は、教育的でも、適切、常識的なものでもない。

 しかしながら、原告が被告の人格、価値観、思考に変化を求めても、別居前の婚姻期間中においてすら不可能であり、到底叶うものではない。そのような被告に監護されている子どもに対して、原告が関与できることも限定されるのは明白である。原告、被告、子どもとのこのような関係性は、離婚によって何ら変わるものでもない。大きな期待はできないが、既に形骸化している婚姻という枠組みを解消することで、被告が偏狭な思考から脱し、原告や子どもとの自他境界の曖昧さを多少なりとも克服することで、嫡出子のみならず原告と非嫡出子の健全な成長と福祉の増進につながることも考えうる。さらに、被告の婚姻という枠組みへの執着を無くすことで、被告が自他境界の曖昧さを克服できるのであれば、被告自身の有意義な人間関係の形成にもつながりうるのである。

 以上より、原告の行動そのものが父親として適切な行動とは言えず、父親としての誠意ある行動と責任を果たさせることが必要であるとの被告の主張も相当ではない。

 なお、二男が高価なプレゼントを欲しがったことに怒ったと言うが、『怒った』訳ではなく、中学生が数万円のブランド品の時計を欲しがることに原告は子どもが見栄をはりや虚栄心にひたることをおそれ、分不相応であり賛成できないといったのである(甲第13号証)。

(6)結語

 原告と被告は、深刻な相互の性格の不一致によって、平成23年◯月より別居に至った。別居より6年もの長期間が経過しているがその期間中に相互扶助関係を基本とする婚姻関係が修復されておらずその兆しもない。すなわち、相当期間婚姻関係は破綻し形骸化しており、民法第770条第1項第5号に規定される婚姻を継続しがたい重大な事由があるといえる。

 婚姻関係破綻に至る専らの責任は不貞行為を行った原告側にある。しかしながら、原告の不貞行為に至るまで、被告が原告に無配慮に浪費を続け、原告を個人として尊重せず自己中心的に振る舞い続けたこと、母親との共依存関係を重視し被告との相互扶助関係の形成を怠ったこと、原告との不調和に気を配らない或いは否認したり、自らの思考感情にとらわれ原告との対話に真摯に応じなかったこと、被告のこれらの言動によって、原告は被告に辟易とするようになったのであり、婚姻関係の破綻について被告にも少なからぬ原因と責任があると言うべきである。

 また、別居が長期間に及び、その間に婚姻関係の修復が全くできず、破綻状態が持続している。原告が婚姻費用の支払いを適切に行っている一方で、被告は原告との離婚を拒むものの、婚姻関係回復への意思や努力は皆無に等しかった。よって、別居後、婚姻関係の破綻が続き、将来に渡って関係回復の見込みがないのは、原告のみならず、被告にも相当に原因及び責任があると言うべきである。

 被告は、両親の経営する社会福祉法人の常勤職員として勤務し、475万円もの年収を得ている。よって、離婚が成立しても経済的に困窮することはない。

 原告と相手側との間に最も年少の小学六年生の三男を含め未成熟子が3人存在する。原告は別居後も婚姻費用の支払いなど子どもの福祉の増進に関わる義務を適切に果たしており、今後もこれまでと同様にその責務は果たされる。よって、たとえ離婚が成立したとしても被告と同居の子供を取り巻く状況になんら変化は生じず、子どもの福祉が離婚により損なわれることはない。

 以上より、原告は有責配偶者ではあるものの、離婚の三要件は概ね満たしており、原告と被告とを離婚するのが相当である。

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